【メグッポイド】産総研とヤマハ社によるNetぼかりすα版を使わせて頂きました【グリーンアイズ】

ヤマハ産業技術総合研究所(産総研)が開発したVocaListener(ボーカリスナー、略称「ぼかりす」)の実用化に向け「Netぼかりす」を開発。
一部ユーザー向けに試験サービスを開始していました。
今回私が使わせて頂いた物はこの「Netぼかりすα版」となります。

ぼかりす と Netぼかりす の違い

本家である産総研「ぼかりす」は今も独自の進化を続けており、開発・研究のある時点からオンライン提供する形で移植・分岐されたもの、それがヤマハの「Netぼかりす」となります。
よって、解析精度等の技術は本家である産総研「ぼかりす」が常に数歩先を走っている形となります。

  • 今回使用させて頂いた物はヤマハ社「Netぼかりすα版」です。
    先進技術がより多く盛り込まれた産総研「ぼかりす」の使用ではございません。

ぼかりすとは

人間の声をトレースし、音節・歌詞を自動的に割り当て、ピッチベンド・ボリューム情報を含むVSQファイル(ボーカロイドのファイル)を出力してくれます。
自らの歌声を録音し、そのWAVファイルと歌詞テキストをぼかりすに入力する事で調整・調教済みのVSQファイルが出力されるという仕組みです。

★VocaListener: ユーザ歌唱を真似る歌声合成パラメータを自動推定するシステム
http://staff.aist.go.jp/m.goto/VocaListener/index-j.html

★以下、産総研によるオフィシャル公開動画でその威力をご確認下さい。
【初音ミク】 PROLOGUE 【ぼかりす】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3128145
【鏡音リン】 Game of Love 【ぼかりす】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3571447
VocaListenerデモンストレーション: インタフェース 【ぼかりす】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6870145

★ITmedia 松尾P様の記事も大変参考になります。
VOCALOID“神調教”技術「ぼかりす」実用化へ、ヤマハと産総研が連携
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0904/27/news039.html
3分で“神調教”に? Netぼかりすα版で曲を作ってみた
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0904/28/news088.html

★ヤマハ株式会社 Y2 PROJECT
http://www.y2lab.com/

Netぼかりすα版の使用

今回の曲はこのNetぼかりすα版を使わせて頂きました。
説明等を聞かせて頂く際、実際に先方様とお会い出来たのですが、
お相手はなんとSY77の設計者様!
マイファーストシンセがSY55、セカンドがSY99(システム設計は77と共通だそうです)だったもんですから感激ですw
そして昔からの謎だったEX5のマニュアル一部表記の謎も解けましたw (マニアックですいません)

話を戻して・・・

NetぼかりすNetぼかりすはとにかく「写実的」にトレースします。
ピッチが揺れていれば揺れたままのVSQが生成されます。
カラオケで歌が旨い人=ぼかりすデータとして適切という訳では無いという所がミソのようです。

これは主観ですが、
生の歌唱は口腔の開き具合、シャウト的な細かい振幅・歪等、様々な表情パラメータを持っています。
Netぼかりすがカバーするのは「ピッチ」と「音量」だけですので、生歌唱による総合的な表情パラメータ全てを取り込んではいない為、ピッチの揺れが単純に音痴に聴こえてしまうようです。これは要編集ですね。

そんな点を踏まえられたのか、Netぼかりすα版の最新バージョンではメグッポイドへの対応に加え、VSQの読み込みにも対応していました。
これは生歌に生じている「ある程度のピッチ・発音タイミングの狂い」を補正する際の作業を楽にしてくれます。

実際の使い方としては、

  • 1.「歌唱WAV」+「歌詞TXT」をNetぼかりすへ入力
  • 2.「VSQ」が出力される(以下NetぼかりすVSQ)
  • 3.「NetぼかりすVSQ」のノートタイミング・ピッチ・歌詞を微調整
  • 4.「歌唱WAV」+「オプション記述のみのTXT※」+「NetぼかりすVSQ」をNetぼかりすへ入力
  • 5.「修正されたNetぼかりすVSQ」が出力される。

※TXTファイルには解析範囲・ピッチベンド振幅制限等、オプションを記述する事が可能。
※VSQに歌詞が入っている場合、TXTに歌詞を記述する必要は無い。

この3~5を繰り返すことで、生歌唱に自信が無い場合も対応出来ると考えます。

グリーンアイズの作業について

まず第一に、自分は歌がヘタですw
手癖からの開放を図る為、ヘタながら自分で仮歌を録音していました。
丁度良いじゃん! という事でNetぼかりすへ入力してみたのですが・・・

これは酷いw (Netぼかりすは悪くないです!)

ならば!
歌唱WAVをNetぼかりすに入力する前に修正しちゃいましょう。

  • 1.Cubase4.5に生歌を録音
  • 2.生歌トラックにWAVES Tune LT V6をインサート
  • 3.ピッチを直しまくる! そんなに時間を掛けずにサラッと。
  • 4.「Tune LTエディト済歌唱WAV」+「歌詞TXT」をNetぼかりすに入力
  • 5.出力された「NetぼかりすVSQ」のノートタイミング・ピッチ・歌詞をペンタブレットで微調整 ※ペンタブ超楽です!
  • 6.「歌唱WAV」+「オプション記述のみのTXT」+「NetぼかりすVSQ」をNetぼかりすへ入力
  • 7.出力された「NetぼかりすVSQ」を+5度上げ(地声が低すぎたので)

という作業の末、無事今回の曲が出来ました。

イラストは飯時さんに書いて頂きました。
ギターソロはたま葱(808P)さんによる物です。

まとめ

ピッチが安定している人、又はAutoTune等補正ソフトを使える人ならば効果は絶大です。
とにかく歌唱を写実的にデータ変換してくれます。

AutoTune等で、ある程度補正すればボカロ独特の歌唱に近づく事も可能ですし、補正を軽くすれば生っぽさ、美味しさを残す事も出来ます。
ケースバイケースで使う事で、ボーカロイドの表現を広げられるのは楽しいと思います。
これでもまだα版、今後の発展が楽しみですね!

謝辞

今回モニターさせて頂いたお陰で生っぽくするコツが分って来ました。
ペンタブレットと時間さえあれば面白い領域にいけるかもしれませんw
時間の捻出がネックな訳ですが・・・

また、一部の文章内容にてヤマハ株式会社 Y2プロジェクト ご担当者様によるご指摘・情報を反映させて頂いております。
今回のモニターテストに参加させて頂き誠に有難うございました。